本研究は、並行処理のバグを検出する動的記号実行系を実現した。従来の動的記号実行は逐次処理を対象とし、並行バグを効率的に探査することができなかった。この問題を解決すべく、本研究はまず、既存の逐次記号実行系に競合検出機構を実装し、共有データ上の潜在的競合アクセスを検知できるようにした。次に、これらの潜在的競合アクセスの中から真に競合となり得るアクセスを効率的に識別する手法を提案した。最後に、トランザクション処理の巻戻しに類似する機構を本研究の並行記号実行に統合することで、真に競合となる共有データアクセス順序を効率的に再現できるようにした。
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