本研究では,コイを対象魚種とし,病原性細菌の感染による感染症の発症をエンドポイントとした化学物質の免疫毒性評価法を構築した。化学物質の暴露に加えて行う感染実験の細菌種の選択および感染経路を検討し,エロモナスサルモニサイダの浸漬感染が簡便かつ再現性の高い手法であることから,同種の利用を決定した。試験法の妥当性を評価するために,高濃度のデキサメタゾンを暴露した個体で感染実験を実施した。暴露個体は感染から35日で全ての個体が斃死したが,無暴露個体では感染による死亡は観察されなかった。このように,免疫抑制作用を有する化学物質の存在下で感染症が誘発されたことから,本手法が有効であることが示された。
|