本研究は江戸時代と明治時代に建設された富山県平野部の伝統的農家を対象とし、枠内造(わくのうちづくり)と呼ばれる木造構法・室内意匠の一般的特徴と歴史的変遷の一端を明らかにした。枠内造はヒロマと呼ばれる部屋を箱枠状の骨組みで堅牢につくり、これを家の核として他の部分をつくりあげる木造構法である。ヒロマの空間は概して豪壮で家の見所となっている。 実測調査と文献調査から枠内造に関するデータを収集し、ヒロマの平面規模や部材の組み方、柱や梁、指物の部材寸法等を検討した。結果、枠内造の表現は家格に応じたものが多いこと、その歴史的変遷は大型化(豪壮化)と均質化(画一化)の二つの相から捉えられることがわかった。
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