研究課題/領域番号 |
26750076
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
池尻 良平 東京大学, 大学院情報学環, 助教 (40711031)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 歴史学習 / 転移 / 教育メディア / システム開発 |
研究実績の概要 |
平成26年度ではまず、歴史と現代社会の関連テーマについて考察している国内外の文献調査を通し、どのようなテーマにおいて歴史と現代社会が関連しうるかの調査と、各テーマにおける歴史の収集・アーカイブ化を行った。手順としては、まず高校世界史の教科書の本文から社会的な因果関係を抽出し、先行研究で定義されている社会的変化の枠組みを参考に、どの時代にも存在する類似した因果関係をカテゴリー化した。次に、カテゴリー名を上位概念として生成した上で、各歴史がどのカテゴリーを含むかを1か0かで事前に入力した。これらの作業により、社会的な問題を基礎とするカテゴリーの属性を持つ歴史のアーカイブを作成した。 次に、現代社会のニュースの文面を用いてどのように類似する歴史を提示するかのアルゴリズムを2つ検討した。1つは、カテゴリーを社会的な問題の特性ごとに分類して、現代社会の問題と同じ分野の歴史を多次元尺度構成法によって求める方法であり、もう1つは文章に出現する単語を基に類似する歴史を求める分類器を使用する半教師あり学習に基づいた分類によって求める方法である。これらのアルゴリズムはプロトタイプ版として実装し、データを限定して動作テストも行っている。 以上の研究成果に対し、本年度は全国社会科教育学会において歴史の分類の成果報告を行い、日本教育工学会と情報処理学会においてアルゴリズムの進捗報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分類に関する基礎調査が終了し、現代社会と関連する歴史のアーカイブデータの作成が行えている点、開発に向けたアルゴリズムのプロトタイプ版を2つ検討・実装している点で当初よりも順調に進んでいる。ただし、歴史家に対するヒアリングに関してはシステム開発のプロトタイプ版を作成してからの確認の方が建設的だと判断しため、この点は次年度にまわしている。そのため、全体を考慮すると順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度の開発に向けては、京都大学で歴史のデータマイニングを研究しているAdam氏とすでに相談が取れる体制を取っており、助言を仰ぎつつ開発を進めていく予定である。また、開発システムの学習評価に関しても、高校・大学で実践する候補を検討しており、プロトタイプの状態からフィードバックを得られる体制を年度始めから構築する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
歴史家へのヒアリングと謝金およびそれにかかる機材購入や旅費に関しては、システム開発がある程度進んでからフィードバックをもらう方が建設的だと判断したため、予算を一部残している。また、交付金額の減額分を考慮し、次年度のシステム開発費・インターフェースデザイン費を今年度の予算から補填できるよう、一部の予算を次年度使用できるようにしている。
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次年度使用額の使用計画 |
歴史家へのヒアリングの謝金、旅費および機材購入として一部を使用し、残りを次年度のシステム開発費・インターフェースデザイン費の予算に充てる予定である。
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