研究課題/領域番号 |
26770022
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
志田 泰盛 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (60587591)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | インド哲学 / 択滅 / 聖典解釈学派 |
研究実績の概要 |
本研究では、音声の永遠性論証を主題とする『プラカラナ・パンチカー』第9章について、原典の再構成と翻訳を軸とした文献実証的解明を課題としている。また、並行している『カーシカー註』の校訂研究と相互補完しながら、8-10世紀頃のミーマーンサー学派の二大分派(プラバーカラ派とバッタ派)における、音声の永遠性論証を中核に据える聖典の権威論証の構造分析を目指すものである。 本年は、音声の無常説に与する仏教説に対する批判箇所の中で、仏教教理に固有の「択滅」という概念がバラモン教側において仏教側の原義を逸脱する解釈が伝承されている点に着眼し、この逸脱解釈の主要因がミーマーンサー学派と仏教論理認識論学派の実際の議論の中にあることを実証的に剔抉した。この研究は「西日本インド学仏教学会第26回学術大会」(2015年7月、広島大学)及び「中世インドの刹那滅論争史研究会」(2015年8月、信州大学)において口頭発表し、論文は『哲学・思想論叢』第34号において出版された。 また、〈聖典の非人為性〉と〈証言一般を構成する各音素の永遠性〉との間の論理的関係をめぐるミーマーンサー学派内部での解釈の変遷に関して、国際会議「Tsukuba Global Science Week 2015(2015年9月、筑波大学)」において発表した。 また、『プラカラナ・パンチカー』第9章の中で、写本の読みが割れる問題箇所については、「海外教育研究ユニット招致プログラム」により筑波大学に来学中の Harunaga Isaacson 教授(ハンブルク大学/筑波大学)を中心とするワークショップ(2016年3月、筑波大学)において集中的に検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)『プラカラナ・パンチカー』の内容分析として、第9章冒頭部を題材に、聖典の非人為性と証言一般を構成する各音素の永遠性との論理関係を描出した点。 2) 仏教学派との対論を錯綜させていた「択滅」の新解釈について思想史的観点から分析を行い、その主要因を剔抉した点。 3) 一方で、写本の校合作業については難読のテルグ文字写本の分析を進める予定であったが、研究機関の異動に伴う環境変化も要因となり、翻刻支援ソフトSMART-GSのヴァージョン変更への対応の問題は未解決のままであり、2016年度以降の課題として残されている。
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今後の研究の推進方策 |
解読の難しいテルグ文字の翻刻については、不明瞭箇所が相当以上に多いことが判明した。この点に鑑みて、本年度はテルグ文字に詳しい Sathyanarayanan氏(フランス極東学院ポンディシェリ校)との共同研究を開催し、校訂作業の完了と後半部の内容分析を当面の課題となる。
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