研究課題/領域番号 |
26770035
|
研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
橋本 周子 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教 (30725073)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 食卓 / 美食 / フランス革命 / 社交性 / 市民性 / 共食 |
研究実績の概要 |
本年度は研究課題「食卓の思想史」の研究目的にしたがい、主に以下のような実績を挙げた。 1 分析対象の重要な柱をなすグリモ・ド・ラ・レニエールの思想について、これまでの研究成果を海外の研究者に提示しつつ議論を深めることができた。これをきっかけにして、フランスでの自著の刊行にむけて、出版社および学術審査委員会の内諾を得ることができた。 2 食卓に理想の社会関係を見いだそうとする思想の系譜を検討するにあたり、ただこれを「食」に関連した課題とするのではなく、むしろ「市民性」の概念から検討することの重要性を理解した。これについては、古代よりの系譜を念頭に置くことが不可欠であることを痛感し、平成28年度の新たな課題の一つとする。 3 本課題はフランスに特化しているが、フランスにおける「コンヴィヴィアリテ(共食性)」に対する愛着の特異性についての理解を深めるため、あえて日本との比較の視点を持ち込むことにした。その成果は、平成27年夏にロッテルダムで開催された国際学会にて発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始前に想定していた以上の、主題の広がりを痛感しているところである。 そのため、計画に照らせば「やや遅れている」との判断も止むを得ないが、しかし、この「想定外」は今後の研究深化にとってきわめて貴重でもあるために、むしろ肯定的に捉えている。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、日本などの比較を念頭におきながら、計画遂行につとめる。 なお、文献の購入にあたっては、新たな研究の展開の方向が見えてきたことから、今年度は古代の食をめぐる議論に関する図書一式の購入を検討している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
すでに研究概要で述べたとおり、平成27年度の研究遂行中に、計画段階では予測できなかた領域(古代における市民性と食)について知見を得ることが必要だと理解した。そのため、購入に必要な図書のリストアップに時間を費やし、3月中の購入に至らなかったために、残額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
すでにリストアップした上記分野の図書購入にあてる。
|