我が国の民法にも存在する地上権という物権的権利は、ローマ法のsuperficiesを起源とする。この権利は、すでに古代にあって用益権、地役権等と同様、物権の一つとして認識されていた。本研究は、この権利がいかに発生し、物権として承認されるに至ったかの解明を目指すものである。そこで、地上権に関する史料はもちろんのこと、都市内の居住にかかわる制度全般の紀元前1世紀から3世紀にかけての変遷を分析し、その中に地上権の発展過程を位置づけることを試みた。結論として、地上権の物権化過程が確かにこの時代の法学者の学説の中で進行していたこと、その背景には、建物という物体の保護という動機があったことを明らかにした。
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