本研究は,近代国家概念の理論的含蓄と具体的公法制度におけるその帰結を,理論的および歴史的側面から探る作業を行なった.その結果,ヨーロッパ大陸におけるジャン・ボダンやトマス・ホッブズら以来の代表,主権,法人格といった公法の基礎的概念の理論的基礎およびその20世紀を通じた発展を詳細に分析した.そこで得られた知見を元に,ヨーロッパにおける現在の公法理論を巡る議論,我が国における明治維新以後の公法理論の特殊な発展,そして近い将来我が国が直面することになる新たな立法論的問題について分析を行うことを通じて立法解釈実務に一定の貢献をすることができた.
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