平成26年度は、同年4月から法務省法制審議会において商法(運送・海商関係)の改正作業が行われていることに伴い、改正関連事項(運送契約に関する総則的規律のほか、定期傭船、海上運送の特則、共同海損、船舶衝突等の海商に関する事項)について網羅的な調査研究を行った。その成果として、8月には、北海道大学で開催された研究会において、商法(運送・海商関係)改正に関する主要論点について解説し、分析・検討の結果、私見を提示した。また同月には、日本橋金融法ワークショップ(早稲田大学)において、同改正中、海上保険に関する論点(適用範囲、告知義務、予定保険、被害者の先取特権等)について研究報告を行った。 なお、平成27年4月1日に、平成26年度中の法制審議会商法(運送・海商関係)部会における審議の結果をまとめた「商法(運送・海商関係)等の改正に関する中間試案」が公表された。本研究では、平成26年度中から同部会における審議の展開を議事録等からフォローしており、その成果として、中間試案の分析・検討および対外的な紹介を目的とした論考(「Reform of Transport and Maritime Law in Japan―An Analysis of the Interim Proposal―」(東京大学 後藤 元 准教授と共著))を雑誌「European Transport Law」に寄稿している(公表は平成27年中)。 6月には万国海法会(CMI)ハンブルク国際会議、およびこれに付随して開催された若手海事法律家協会(YMLA)の会合に出席し、海事法に関する最新の課題について各国の代表者と意見を交換した。会議の詳細は、「海法会誌」において報告している。
|