平成27年度は、平成28年2月まで法務省で進められていた商法改正作業(法制審議会商法(運送・海商関係)部会での議論)をフォローするとともに、その成果物等を分析の上、対外的に発信することを目標とした。その成果として、平成27年4月の中間試案公表に合わせて、同年5月、中間試案を網羅的に紹介・分析した英語論文(「Reform of Transport and Maritime Law in Japan: An Analysis of the Interim Proposal」)を執筆し(東京大学・後藤元准教授と共著)、雑誌「European Transport Law」に寄稿した(同年11月公表)。また、平成27年10月に開催されたシンポジウム「運送・海商法の改正:日本とドイツの比較法的検討」(平成27年10月27日、28日、東京大学)に参加し、「海上物品運送契約」とのタイトルのもと、日本の運送・海商法改正の状況とその問題点について、ドイツ法と比較しつつ分析する内容の報告をした。 旅客運送に関しては、第7回宇宙法シンポジウム(平成28年3月2日、慶應義塾大学)に参加し、「宇宙旅行に関する法的研究ーー旅客運送法の観点から」と題する報告をした。これは、宇宙旅行という新たな旅行形態について、旅客運送法という観点から分析・検討したものである。 加えて、平成27年6月に開催された万国海法会イスタンブール大会に出席し、各国の代表者と運送・海商法の最新トピックについて意見交換を行った。同大会の報告書は、平成27年に刊行された「海法会誌」第59号において公表している。
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