研究課題/領域番号 |
26780241
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
森岡 耕作 東京経済大学, 経営学部, 准教授 (30609194)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 経験価値 / 価値共創 / 共創造性 |
研究実績の概要 |
消費者経験価値は、特に2000年代以降、その学術的・実務的重要性が指摘されてきたにもかかわらず、それに関連する学術的に体系的な実証研究が行われてこなかった。実務的な要請と研究上の限界に鑑みて、本研究は、消費者の製品使用時における経験に着目して、(1)経験価値を測定する尺度を開発し、(2)その価値の前件要因と後件要因を明らかにし、その結果として、消費者と企業とが価値共創するメカニズムを解明することを目的としている。 上記の目的に照らし、昨年度に続けて、分断されて議論・測定されていた消費者の経験価値を、「能動/反応」、「内在/外在」、および「個人/社会」の3つの分類軸を提案しているHolbrook(1999)のフレームワークを援用して、8つに識別して、測定した。さらに、その価値がどのような構造になっているのかを併せて明確にした。結果として、分断されて議論・測定されていた消費者の種々の経験価値を、1つのフレームワークに基づいて、整序・測定することを可能にした。加えて、それらの経験価値の整序と測定可能性は、消費者と企業とによってどのように共創されうるのかということに関する議論を展開する基盤となることが期待される。具体的には、消費者と企業との価値共創の中でも、とりわけ、企業と消費者とが協働して問題解決を図る「共創造性(co-creativity)」の概念に注目して研究を展開する可能性を見出した。特に、問題の解決を複数のフェーズに分解して、それぞれのフェーズにおける消費者と企業との役割を明らかにすることが、価値共創の理解にとって必要であると目される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、(1)事例収集と理論的検討、(2)消費者が創造する価値(経験価値)の尺度開発とその精緻化、およびその規定因・帰結に関する仮説構築、そして(3)消費者の価値創造に関する包括的モデルの実証分析、という3つの段階に分けられる。そのうち、昨年度までに第2段階の一部までを遂行してきた。本年度にあっては、第2段階・第3段階の完遂が期待されていた。しかしながら、在外研究中にあって、新たにスタートした共同研究の中で、「価値共創」の再定義をとおして、第2段階の見直しを検討する必要性が生じた。その結果、当初の予定を変更して、第2段階の一部と第3段階の完遂を目指して、研究期間の延長を行った。したがって、本研究は遅れていると判断せざるをえない。
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今後の研究の推進方策 |
延長を伴った最終年度となる本年度は、第2段階(経験価値尺度の精緻化)と第3段階(価値創造活動の規定因・帰結モデルの実証)の完遂へ向けて、ウェブ上における実験調査を実施する。そこで得られたデータについて研究発表を繰り返しつつ、補完的な調査の可能性も併せて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗に合わせた調査計画の変更に伴って、実験・調査が次年度に繰り越されたために、使用額に差異が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り延べられた実験・調査の実施と、研究発表を伴う旅費に支出する予定である。
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