本研究は、保険契約会計における会計上の対応概念の現代的意義を明らかにすることを目的としている。会計基準設定主体は、保険契約会計基準の策定に当たり、現行実務と親和性のあるフローの配分を重視する会計モデルから資産・負債の評価を重視する会計モデルへの転換を図った。会計モデルの移行に伴い、保険契約会計の基準策定作業において対応概念の変容が生じた。すなわち、収益と費用の対応手続が、資産負債管理を念頭に置いた資産と負債の対応手続へと変容した。前者は保険契約の履行状況を伝達するための情報提供がなされるが、後者は保険負債と裏付資産の評価損益のミスマッチを報告することに重きが置かれる。
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