研究課題/領域番号 |
26780324
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研究機関 | 日本社会事業大学 |
研究代表者 |
有村 大士 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 准教授 (90712068)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 子ども虐待 / 家族支援 / 予防 |
研究実績の概要 |
本研究では、市町村において、予防や見守り段階で活用できるアセスメントツールの作成を目的とする。具体的には、子どもと家庭のWell-beingに着目したアセスメントツールおよび社会的なサポートに関する指標等、リスクという視点では捉えられない支援ニーズの高い層へのアプローチを手助けするためのツール作成を目標とする。 平成26年、27年の2年間では事例の収集や文献調査を実施し、アセスメントツールについて知見を得ことを目的とした。加えて、日本国内において、市町村および児童相談所の現状把握を行い、アンケート調査を実施し、ケース分析を行い、日本における現状と問題点を明らかにすることとしている。 平成26年度は現場で児童相談所や市町村の相談窓口で子ども家庭相談に従事、あるいはその経験がある方々にご協力いただき、現場の現状や課題について事前にヒアリングを行う会議を実施した。その結果、「虐待」だけに焦点を当てた、対立的なアプローチだけでは限界があり、やはり危機的な状況に陥る前に、予防的な対応が重要、かつ必要不可欠であり、対応を進めることが必要であることが聞き取れた。また、その役割は児童相談所というよりは、より地元住民に身近で、子ども家庭福祉だけでなく、母子保健などの対応において、予防的な幅広いサービスを持つ市町村が有力であり、予防的な機能が市町村で十分果たせるよう考慮すべきことなどが、懸案として挙げられた。 一方、調査については特に中心的に協力していただける自治体と,平成27年度の調査の実施について調整を行った。 平成27年度には、平成26年度の現場職員へのヒアリング、および調整を進めている量的調査について、調査、およびその分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、平成26年度に専門家を中心としたヒアリング調査、量的調査を実施する予定であった。 ヒアリング調査は、現場経験が豊富な職員10数名にヒアリングを行うことができ、多くの知見を得ることができた。 一方で、量的調査にあたっては、中心的にご協力いただきたい自治体との調整により、平成27年度の実施となる予定であり、当初平成26年度に実施する予定となっている調査が、平成27年度の実施に向けて調整するに留まった。
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今後の研究の推進方策 |
3年計画の2年目となる平成27年度においては、平成26年度明らかになった課題や、社会情勢の変化に対応し、現場で実践を行う専門家にヒアリングを実施し、かつ平成26年度に調整を進めてきた量的調査について実施する予定である ヒアリング調査では、夏期に予定されている子ども虐待の通報番号が3桁化されることやこのことによる影響、及びその対応について検討が必要となる。特に、先行研究の検討により、1990年代の北米など、アセスメント時の子どもの安全(Child Safety)の懸念のみに焦点を当てたシステムを構築した場合、予防がおろそかになり、予防が必要なケースに対応が届かない可能性が示唆されている。従って、これらの海外の専攻して対応している国々の知見や教訓に添いながら、日本の現場での対応、およびツールの開発に焦点を当て行く必要がある。従って、ヒアリング調査により、日本で既に対応の工夫が成されていた点や、過去の実施できていた点に焦点を当てて聞き取りと分析をすすめることとする。 加えて、量的調査では、具体的な対応内容について把握を行う。分析にあたっては、これからの日本に貢献できる知見を得ることを目的とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に、量的な調査を実施する予定であった。しかしながら、中心的に協力いただく自治体との調整の結果、平成27年度に実施するよう調整を進めてきた。従って、調査の実施が平成26年度でなく、平成27年度に実施することとなったため、平成27年度の使用額が多くなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に実施する予定であったが、中心的に協力いただく自治体と調整してきた、量的調査を平成27年度に実施する予定であり、そのデータ入力とその解析に使用する。
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