研究課題/領域番号 |
26780347
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
尾崎 由佳 東洋大学, 社会学部, 准教授 (50459434)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 社会的認知 / 自己制御 / 目標過程 / 社会心理学 |
研究実績の概要 |
自己コントロールを改善するためのトレーニングとして、日常生活において葛藤場面が生じた際に制御目標を活性化させるという心的作業を繰り返すという訓練法を考案し、心理実験を通じてその効果を検証した。この実験においては、「貯金」という制御目標と「消費」という衝動が葛藤する場面を取りあげた。日常生活において、上記の制御目標と衝動の間に葛藤が生じるたびに、制御目標を意識的に想起するという作業を2週間にわたって何度も繰り返すことによって、同じ葛藤場面が生じたときに自動的に制御目標が活性化しやすくなるだろうと予測した。実験参加者は貯金したいという目標を持っている大学生73名であり、実験群と統制群にランダムに割り当てられた。事前セッションにおいて、まず感情誤帰属課題 (affect misattribution procedure: AMP)によって、貯金目標の活性化の高さが測定された。 実験群の参加者は、買い物をしたいという衝動を感じたときに貯金という目標を思い出すように教示された。また、目標想起を補助するために、目立つ色のついたカードに目標貯金額を記入して財布の中入れておき、財布から現金を出そうとするときに目標を思い出しやすくなるようにした。一方、統制群の参加者にはこれらの教示が行われなかった。2週間のトレーニング期間ののち、事後セッションにおいて再度、貯金目標の活性化の高さを測定した。結果、実験群において目標活性化が事前よりも事後に下がるという、予測と反するパターンが示された。なぜこのような結果になったのかについては、今回の結果だけで明らかにすることは困難であるため、手続きの改善などを加えた上で翌年度に再検証する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度に行った実験において予測に反する結果が得られたため、その理由を明らかにすべく追試を実施する予定である。その分、研究実施期間を1年間延長することになった。
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今後の研究の推進方策 |
自己コントロールを改善するためのトレーニングとして、葛藤場面が生じた際に制御目標を活性化させる作業を繰り返すという方法の効果検証を引き続き行う。当該年度に行った実験において予測に反する結果が得られたため、手続き的改善などを加えた上で追試を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度において実施した実験において、予定よりも実験参加者人数が少なかったため、謝礼金の総計が計画時よりも少額に抑えられた。これにより余剰となった助成金は、翌年度に行う追試における実験参加者謝礼として用いる予定である。
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