本研究の結果から,計算時の手指の利用に関して,以下の3点が明らかにされた。まず,70%以上の子どもがその発達過程で計算時に手指を使用しており,ほとんど小学2年生ごろに使い終わることが示された。したがって,計算時に手指を使うという行為は,計算能力の発達の一過程として位置づけることができると思われる。次に,計算時に手指を使い終わる時期が早かった子どもは,その時および現在において,自分自身は計算が得意だと認識していることが示された。最後に,手指認識が手指の利用の終わる時期に関係していることが示唆された。計算時に使っていた手指が,頭の中で内面化することで,手指の利用が減少すると考えられる。
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