トロピカル幾何学とは,通常の掛け算と足し算(×と+)の代わりに,足し算と「大きい数をとる演算」(+とmax)を採用した幾何学のことである.トロピカル幾何学は,可積分系方程式と呼ばれる特殊な微分方程式の構造の研究と相性が良いことが知られており,両者の関係の本質的な意味を調べることが本研究の主眼である.本研究において得られた成果は主に以下の2つである.1.相対論的戸田方程式の初期値問題の解法を利用して,「旗多様体の量子K理論」と特殊対称多項式の関係を明らかにした.2.超離散(トロピカル)KP方程式の代数的解法を用いて,組み合わせ論定理への応用を与えた.
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