本研究課題では、有限温度・密度量子色力学の臨界点をモンテカルロ法により決定することが目標である。この系には符号問題が存在することから、その方策として位相再重み付け法を採用した。特に、その位相を厳密に計算することにより揺らぎを抑え、かつ、申請者が開発した高速計算アルゴリズムの開発により高統計を実現したことによって、符号問題をある程度制御することに成功した。その結果、目標であった温度方向格子サイズ6での臨界点を定めることができた。具体的には、クォーク質量とクォーク化学ポテンシャルで張られる空間では臨界点が集合を成し「臨界線」を形成するのであるが、その曲率を統計的有意に決定することができた。
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