本研究の目的は顕著な量子効果が期待される幾何学的フラストレート磁性体において、圧力中で起きる量子相転移を発見することである。我々は高圧力下磁化測定により、非磁性基底状態と励起状態の間に励起ギャップを有するS=1三角格子反強磁性体CsFeCl3の1.5 GPaまでの磁気相図を決定した。その結果、臨界圧力~0.9 GPaにおいて非磁性ギャップ状態から磁気秩序状態へと圧力誘起量子相転移が起きることを世界に先駆けて明らかにした。更に本物質の0.5 Kまでの極低温磁化測定を行い、常圧における磁場誘起磁気相転移が磁気励起マグノンのボース・アインシュタイン凝縮として理解できることも明らかにした。
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