微分方程式を厳密に解くのには困難を伴うことが多く,有用な近似法の開発が望まれる.本研究では,偏微分方程式を対象に,系のもつ対称性を利用した近似法を開発した.特にこの近似法は非線型性を摂動として含むタイプの系に対して有効である.従来のこの種の方法は,偏微分方程式における独立変数の増加により,そのまま適用することは不可能であった.しかし,偏微分方程式では無摂動解の選び方に任意性があるため,ベースとなる無摂動系の解を定め,その解から拘束条件を構成して,系のなす空間の次元を減らして対称性を探すと,近似解の構成に有用な対称性を見出せることが解った.
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