2つのラジカルが窒素原子を介して相互作用する分子の合成と構造・物性の解明をおこなった。このような分子の例として、トリアリールアミンの2つのアリール基をフェノキシラジカルで置換した分子を合成した。興味深いことに、この分子は室温において電子スピン共鳴(ESR)信号が観測されず、一方でシャープなNMRシグナルが観測された。また、単結晶X線構造解析から、この分子は中央の窒素周りにおいて二本の等価な多重結合が形成されていることが明らかになった。本研究結果は、閉殻電子状態と開殻電子状態のエネルギー差が極めて接近した分子の開発指針を与えるものであると考えている。
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