本研究はこれまでキラルな分子を触媒として用いるなど,分子キラリティーを用いて反応の選択性を制御する物が中心であった不斉反応に対し,結晶構造のキラリティーや表面構造のキラリティーといった分子配列が作り出すキラリティーを利用することで,分子不斉のない環境から不斉合成を達成することを目的としている。不斉自己触反応の高い不斉増幅力を利用することで,エチレンジアミン硫酸塩やフェノール誘導体,レトゲル石といったアキラルな化合物が形成するキラル結晶を用いた不斉誘導に成功している。また結晶構造はアキラルであるが表面キラリティーをもった石膏を用いて2次元キラリティーを用いた分子の不斉誘導に初めて成功した。
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