研究課題/領域番号 |
26820165
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
石崎 孝幸 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (10650335)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 階層分散制御系設計 / モデル低次元化 / 冗長な状態空間表現 |
研究実績の概要 |
近年,計算・通信技術の発達により,工学が扱う対象は飛躍的に大規模化している.例えば,電力ネットワークはその代表例であり,東京電力管内においては,約200か所の発電施設と約2000万世帯の需要家からなる電力系統を常に安定して運用することが求められている.このような背景のもと,大規模システムを系統的にとり扱うための解析・制御手法開発の重要性は,今後とも日増しに高まることが予想される. 本研究では,以上の背景のもと,大規模なネットワークシステムに対する階層分散的な制御系の設計を行っている.特に本年度では,システムの制御に不可欠な状態推定のため,階層分散オブザーバの設計理論の構築を行った.この階層分散オブザーバは,基幹オブザーバによってサブシステム間の相互干渉を表わす状態空間を推定し,その推定信号を各サブシステムに接続された分散オブザーバへ送信する構造をもつ.本研究では,相互干渉を表わす状態空間を抽出する問題を,入力信号からサブシステム間の接続に関する出力信号への伝達関数の近似問題として定式化し,その近似(低次元化)問題にひとつの解を与えた. また,この階層分散オブザーバに基づく階層分散制御系の設計に向けて,階層分散状態フィードバックコントローラの設計に関する基礎的な検討を行った.より具体的には,オブザーバ設計と状態フィードバック設計では,ある種の双対性をもつ状態空間の拡大モデルを用いることにより,それらの系統的な設計や統合が可能になることを示す基礎的な結果を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通りの階層分散オブザーバ設計に加えて,階層分散状態フィードバック系の設計に向けた基礎的な結果がすでに得らている.この観点から,当初の計画以上に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度において得られた結果に基づき,階層分散オブザーバ設計と状態フィードバック設計を統合し,階層分散制御系設計理論を構築することを目指す.特に,従来までの集中的な制御系との比較により,提案する階層分散制御系の優位性を明らかにすることが重要となる.また,これらの結果を論文として整理し,国内外で積極的に発信していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた図書の購入が在庫不十分などの理由により延期されたため.また,購入予定であったソフトウェアのMATLABは,大学のTAHライセンスが締結され,購入が不要になったため.
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次年度使用額の使用計画 |
予定していた図書を購入し,購入予定であったMATLABのための費用は,他の解析用ソフトウェアの購入費に充当する.
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