研究課題/領域番号 |
26820209
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
力石 真 広島大学, 国際協力研究科, 特任准教授 (90585845)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 郊外ニュータウン / 高齢化 / 社会的相互作用 / 買物行動 / 自動車利用 |
研究実績の概要 |
本研究は,土地利用や施設配置へのフィードバックメカニズムを組み込んだ生活行動シミュレーションモデルを構築することを目的としている.本年度は,買物目的地選択モデル,自動車利用モデルの2つの需要側サブモデルの構築を試みた. 1つ目のサブモデルとして,郊外部ニュータウンにおける近隣小売店の存続可能性を検討することを念頭においた買物目的地選択モデルを構築した.具体的には,市場的/非市場的相互作用により発生する近隣小売店の魅力度を内生化した地域住民の買物目的地選択行動をモデル化した.また,広島市の郊外ニュータウンを対象とした実証分析を行った.本研究の主な成果は,(1) 周囲からの平均的行動ではなく,集計的行動に影響を受ける形で非市場的相互作用をモデル化した点,(2) 外生・相関効果を考慮してもなお,内生効果が有意に存在していることを実証的に示した点,(3) 分析対象地域においては,複数均衡は存在しない可能性が高いことを示した点にあると考えている. 2つ目のサブモデルとして,自動車利用モデルを構築した.具体的には,定年退職が自動車利用に及ぼす影響を実証的に把握することを念頭に,地域(都道府県)毎の(1)定年退職の発生に先行して生じる影響(先行効果),(2)定年退職の発生時に生じる影響(同時効果),(3)定年退職の発生後に生じる影響(遅れ効果)を考慮した世帯年間総走行距離モデルを構築し,定年退職が自動車走行距離に及ぼす影響を定量的に示すことのできるモデルを提案した.実証分析の結果,都市部と地方部の自動車走行距離の地域間差異の傾向として,自動車の平均走行距離では地域間差異が観測されたが,ライフイベントの発生が自動車走行距離に及ぼす影響の地域間差異は観測されなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,予定していた需要側のサブモデルを2つ構築した。また,集約のプロセスに伴う郊外部の縮退が問題となっているニュータウンを対象とした実証分析を行うことができた。以上より,概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は,計画通り供給側のサブモデルの構築に取り組む予定である。また,需要側のサブモデルとの統合についても検討し,施設配置と生活行動の相互作用を記述可能なモデルのプロトタイプを作成する.
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