実施者らの既往研究では,データの空間相関を考慮した欠損データの補完方法を提案した.しかし,そこでは,被説明変数yの空間相関のみが考慮され,説明変数Xの欠損復元においては,変数間の相関情報のみが利用されていた.そこで本課題では,Xの復元においても,空間情報を利用する形のモデル開発を行った.その結果次の2点が明らかになった.[1]空間情報を用いることで,正の空間相関の強い連続変数(例えば,賃料,アクセシビリティ)については,補完正確度を大きく向させられる可能性がある.[2]局所的な変動が大きい変数,例えば床面積や築年数については,空間情報の導入が逆にRMSEやバイアスの悪化を引き起こす場合が多い.
|