本研究では、糸状菌Talaromyces cellulolyticus (旧称Acremonium cellulolyticus)の糖化酵素遺伝子の発現機構に着目し、(1)他の糸状菌で糖化酵素遺伝子を制御することが知られている転写因子の解析、(2)新規な転写因子の検索およびその機能解析、を試みた。その結果、tacA遺伝子やtctA遺伝子、Hap complex遺伝子などが本菌の糖化酵素遺伝子の発現に寄与することを見出した。また、新規な転写因子の単離には至らなかったが、その過程で、相同組み換え能が飛躍的に向上した株の取得や、糖化酵素遺伝子の発現に重要なプロモーター領域の特定といった成果を得た。
|