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2015 年度 実施状況報告書

藻場から磯焼け域への移行帯における無節サンゴモの種レベルの分布特性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26850123
研究機関広島大学

研究代表者

加藤 亜記  広島大学, 生物圏科学研究科, 助教 (00452962)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード磯焼け / 藻場 / 無節サンゴモ / サンゴモ平原 / 温暖化 / 石灰藻
研究実績の概要

西日本の藻場から磯焼け域に分布する無節サンゴモのうち,ヒライボLithophyllum okamuraeなどのイシモ属を中心に形態と遺伝子データの調査を進めた。
ヒライボは突起を持つ無節サンゴモで,日本沿岸に広く分布し,海藻藻場の生態調査においても調査対象種とされている。これまで採集したヒライボ様の突起を持つ,タイプ産地の神奈川県と西日本のサンプルについて,種判別の遺伝子マーカーである葉緑体psbAを比較したところ,数種に相当することが明らかになった。しかし,それぞれの種と採集地域の対応は見られなかった。ただし,これらの種は,同様な突起を持ち,生殖器官のサイズ等に違いのある,主に南西諸島に分布するミナミイシモL. kotschyanumとは別種であった。
ヒライボとミナミイシモ(タイプ産地は紅海)は,インド-太平洋域から広く報告があるほか,同海域で複数の品種が記載されている。ミナミイシモとインド洋に分布するミナミイシモとヒライボの品種のタイプ標本について,平成27年に核のLSU部分配列が公表された。LSUは進化速度が遅く,種判別のマーカーには適していないが,これらのタイプ標本とこれまでに採集した日本産のヒライボとミナミイシモを比較したところ,いずれも合致しなかった。さらに,太平洋で記載されたミナミイシモとヒライボの品種のタイプ標本をノルウェーの博物館から借用し,同領域の配列を比較したところ,これらも日本産種とは合致しなかった。ヒライボのタイプ標本はすでにフランスとイタリアの研究者が解析を始めていたため,共同研究として,ヒライボ・ミナミイシモ様の種の系統分類学的研究を進めることにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

タイプ産地(高知県室戸岬)での採集は,天候にも恵まれて,予定通り行えた。日本が基準産地の10種の標本は全て入手でき,西日本の藻場から磯焼け域に多く分布するヒライボなどのイシモ属について研究を進められた。しかし,DNA抽出法の再検討や,ヒライボやミナミイシモの品種のタイプ標本を収蔵しているノルウェーの博物館との連絡や国際共同研究のためのやり取りに時間がかかったため,観察や実験にやや遅れが出た。

今後の研究の推進方策

平成28年度は,ヒライボのタイプ標本と日本産サンプルについて,LSU,psbAおよびミトコンドリアCOIのDNA塩基配列の比較と形態の精査を行って,ヒライボを再定義し,類似した未記載種の新種記載を検討する。
ヒライボ様の種以外についても,西日本に分布するサンプルの形態観察とpsbA,COI配列の決定を進める。これに加えて,西日本の温帯域に分布する岩石付着性の無節サンゴモの種のうち,日本が基準産地の10種について,これらの形態やpsbA,COI配列を西日本産サンプルと比較し,西日本に分布する種の定義や分布域を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

一部の標本からのDNA抽出に問題があったので,抽出キットの変更など検討を行った。さらに,ヒライボやミナミイシモの品種のタイプ標本を収蔵しているノルウェーの博物館との連絡や国際共同研究のためのやり取りに時間がかかった。そのため,特に遺伝子実験が遅れたため。

次年度使用額の使用計画

昨年度中に入手したタイプ標本やヒライボ様種以外の西日本産サンプルについて,種レベルの系統解析に有効なオルガネラ遺伝子マーカーの配列決定を行うため,試薬購入やシーケンスサービスに充当する。また,国内の共同研究者との研究成果取りまとめの打ち合わせ旅費に充当する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] Universita degli Studi di Milano Bicocca(イタリア)

    • 国名
      イタリア
    • 外国機関名
      Universita degli Studi di Milano Bicocca
  • [国際共同研究] Museum National d’Histoire Naturelle(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      Museum National d’Histoire Naturelle
  • [雑誌論文] 瀬戸内海中西部の広島県竹原市周辺における海藻相と季節的消長2016

    • 著者名/発表者名
      加藤亜記・城内辰享
    • 雑誌名

      藻類

      巻: 64 ページ: 1-9

    • 査読あり
  • [学会発表] 瀬戸内海西部のニホンアワサンゴ群生地における海藻群落構造2016

    • 著者名/発表者名
      嶋大磯・*加藤亜記・小池一彦・藤本正明・島袋寛盛・吉田吾郎
    • 学会等名
      日本藻類学会第40回大会
    • 発表場所
      日本歯科大学,東京
    • 年月日
      2016-03-18 – 2016-03-20
  • [学会発表] Current situation of the systematic study of extant coralline red algae2015

    • 著者名/発表者名
      *Kato, A. & Liao, L. M.
    • 学会等名
      11th International Symposium of Fossil Algae
    • 発表場所
      University of the Ryukyus, Okinawa, Japan
    • 年月日
      2015-09-14 – 2015-09-18
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2017-01-06  

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