牛小型ピロプラズマ症は牛に貧血を引き起こし、我が国における主たる放牧病として大きな問題となっている。しかし、効果的なワクチン及び治療薬は未開発でありその候補となる原虫抗原もほとんど明らかでない。このような状況を打破すべく、本研究では比較ゲノム解析によるin silicoでの抗原探索、およびウシ血液置換免疫不全マウスとマダニを用いたラボ内でのタイレリア感染実験系の確立を行った。原虫各発育期における転写発現解析を行い、ワクチン候補抗原リストの作成を行った。本実験系及び得られた遺伝子発現情報は今後、T. orientalisの生物学特性を解明していく上で必要不可欠なツールとなりうる。
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