本研究の目的は、リガンドと金属イオンとの錯体形成および自己集積化により構築されるカチオン性両親媒性金属錯体の設計・合成と、がん細胞選択的に細胞死を誘導する薬剤の創製である。具体的には、カチオン性ペプチド Lys-Lys-Gly-Gly (KKGG) と Ir 錯体を長さの異なるアルキルリンカーで連結したカチオン性両親媒性 Ir 錯体が、Jurkat 細胞に対しアルキル鎖長依存的な細胞死誘導活性を示すことを見出した。さらに、細胞死誘導メカニズムについて詳細な検討を行い、Ir 錯体が、まず細胞内カルシウム濃度の上昇を引き起こし、その後、細胞の形態変化を伴った細胞死が誘導されることが示唆された。
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