線虫(C. elegans)の腸細胞に豊富に存在するHEBE顆粒は、飢餓条件下で急速に分解する。このオルガネラ分解の分子基盤を明らかにするために、RNAiライブラリーを用いた遺伝要因のスクリーニングを行った結果、HEBE顆粒の飢餓による分解が抑制されたのは、いずれも卵形成の異常を示す個体であった。卵への栄養供給に関わる卵黄タンパク質は、腸細胞で特異的に合成・分泌されて卵に取り込まれるが、HEBE顆粒自身は卵黄タンパク質の輸送には関与しないことから、HEBE顆粒が卵への栄養供給に関わる他の栄養因子の貯蔵に関わる可能性や、生殖腺からのシグナルがHEBE顆粒の動態を調節する可能性が考えられた。
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