臨床における薬剤性腎障害の発症は半数以上が重篤化し、進行性の腎機能低下や死亡の要因となる可能性がある。本研究では、腎臓の頑健性(Robustness)を実証することを目指し、腎臓に内在する炎症抑制システムに着目した解析を行った。 腎毒性を有するシスプラチンをマウスに投与したところ、炎症性サイトカインであるIL-6およびCCL2の腎臓内での発現が早期より認められ、抗炎症性サイトカインであるIL10やIL27の発現量はそれに引き続いて上昇することが示された。従って、シスプラチンによる腎障害時には催炎症システムと抗炎症システムが順次活性化されることが示唆された。
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