まず、血管内皮細胞においてERK5の活性化を惹起する可能性のある物質を探索した。その結果、脂質異常症治療薬の一つであるピタバスタチンが強力にERK5活性化を惹起することが明らかとなった。ピタバスタチンは、ERK5活性化を介しeNOSの発現を増加させた。また、eNOSの発現に伴って内皮細胞マーカーであるVE-カドヘリン発現を増加させる傾向が観察された。NO産生は内皮細胞の形質の維持に重要な役割を果たしている可能性が示唆されることから、ピタバスタチンがERK5活性化を介しeNOS発現、NO産生を惹起することによりVE-カドヘリン発現を増加させ、内皮間葉転換を抑制する可能性が示唆された。
|