本研究課題では、羊水塞栓症におけるアナフィラキシー様(アナフィラクトイド)反応について、妊娠ラットへの羊水の静脈投与による血中成分への影響、ならびにアナフィラキシー反応の主体である肥満細胞に対する羊水曝露の影響について検証した。その結果、妊娠ラットへの羊水投与実験では、アナフィラトキシン(C3a、C5a)ならびに補体経路の活性化に関与するC1INHの血中濃度に有意な変動を認めなかった。一方、形成されたフィブリン血栓の溶解を示すD-ダイマーの血中濃度は有意な増加を認めた。また、羊水に曝露した培養肥満細胞は脱顆粒反応を認めなかった。したがって、羊水は血液凝固機能に影響を及ぼすことが示唆された。
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