研究課題/領域番号 |
26860678
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
三嶋 崇靖 福岡大学, 医学部, 助教 (00600602)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Perry症候群 / DCTN1 / ダイナクチン / TDP-43 / iPS細胞 |
研究実績の概要 |
【Perry症候群の臨床症状の検討】 Perry症候群は、パーキンソニズム、うつ、体重減少、中枢性低換気をきたす遺伝性の神経変性疾患である。2009年に我々のグループにより、DCTN1が原因遺伝子として報告された(Farrer MJ, et al. Nat Gnet. 2009)。我々は、本邦のFUK-1家系の家系調査でPerry症候群における衝動制御障害について報告した(Mishima T, et al. Parkinsonism Relat Disord. 2015)。更に本邦のOMT家系の詳細な家系調査で、Perry症候群において、孤発性パーキンソン病に類似したパーキンソニズムがみられることを明らかにし、脳ドパミントランスポーターシンチグラフィの取り込み低下がみられることを報告した(Mishima T, et al. Parkinsonism Relat Disord. 2016)。 【Perry症候群の培養細胞を用いた解析】 京都大学iPS細胞研究所井上研究室との共同研究により、2014年に我々が報告したOMT家系のF52L遺伝子変異を有する患者由来のiPS細胞を樹立した。SFEBq法を用いて疾患標的細胞であるtyrosine hydroxylase (TH) 陽性神経細胞を分化誘導し、免疫染色でコントロール細胞との比較検討を行った。患者由来iPS細胞から分化誘導したTH陽性神経細胞で、変異遺伝子を過剰発現させた培養細胞と同様にダイナクチンの凝集体を検出し、病態の一部再現に成功した(Mishima T, et al. Parkinsonism Relat Disord. 2016)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床部門では、家系調査により、Perry症候群の臨床症状について詳細な検討を行い、論文発表を行った(Mishima T, et al. Parkinsonism Relat Disord. 2016)。 また、基礎部門では、京都大学iPS細胞研究所井上研究室との共同研究により、Perry症候群患者のiPS細胞を樹立、tyrosine hydroxylase (TH)陽性細胞に分化誘導した。患者由来のTH陽性細胞で病態の一部再現に成功し、論文発表を行った(Mishima T, et al. Parkinsonism Relat Disord. 2016)。
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今後の研究の推進方策 |
更なる家系調査を行い、詳細な臨床症状の検討を行う。また、剖検脳を用いた検討では、Perry症候群の剖検脳を多く有するMayo Clinic Jacksonvilleとの国際共同研究を継続し、ダイナクチン蛋白質複合体の主要サブユニットであるP150gluedやP50、TDP-43の免疫染色等を行い、中枢神経系内での凝集体の分布について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
福岡県内の家系調査が主であり、学会発表も国内学会で発表を行ったため、旅費がかからなかった。また、培養細胞およびiPS細胞を用いた研究も論文投稿が完了したため、追加の試薬等の購入の必要がなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
更なる家系調査のための旅費に充てる予定である。 Mayo Clinic Jacksonvilleとの共同研究により、Perry症候群の病理学的解析を行っている。解析結果の学会発表のための旅費や論文投稿の際の英文校正費に充てる予定である。
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