研究課題
1.Tet2gt/gtマウスに生じたリンパ腫細胞におけるエピゲノム解析:TET2は最終的にDNAの脱メチル化を導く機能を有していることから,TET2の機能不全が引き起こすエピゲノム異常とT細胞性リンパ腫の発症との関連を明らかにするため(h)MeDIP sequenceを行った.ゲノムワイドでの解析では,メチルシトシンの有意な増加および転写開始点付近でのヒドロキシメチルシトシンの有意な低下を認め,個別の遺伝子解析では濾胞性ヘルパーT(Tfh)細胞の主要転写因子であるBcl6のintron 1に高メチル化部位を認めた.バイサルファイトシークエンス法でも検証を行った.この部位のメチル化はB細胞性リンパ腫においてBCL6の転写を促進することが知られており,Bcl6の転写が促進されることによりTfh様細胞の増加をきたしている可能性が考えられた.2.網羅的解析から得られた結果に関する検証:Bcl6 intron1のメチル化と発現制御の関連を調べるために,EL4マウスT細胞性リンパ腫細胞株を用いて脱メチル化剤であるデシタビンを添加し,脱メチル化された際の遺伝子発現の変化を検証した.EL4のBcl6 intron1はほぼ完全にメチル化された状態にあり,デシタビンを加えることにより脱メチル化を引き起こせることをバイサルファイトシークエンス法にて確認した.脱メチル化に伴い,Bcl6のmRNA発現量が低下することをreal time PCR法にて確認した.3.Tet2gt/gtマウスに生じたリンパ腫細胞におけるadditional hitの解析:次世代シークエンサーを用いて正常対照とリンパ腫細胞のゲノムを得ることができた1個体において網羅的変異解析を行った.さらに個体数を増やして現在解析中である.
1: 当初の計画以上に進展している
Tet2gt/gtマウスの解析を通して,これまでの研究成果を英文誌に投稿し,掲載されたため.
Tet2gt/gtマウスはT細胞性リンパ腫の発症までに中央値67週齢と長期間を要することから,エピゲノム異常のみならず,何らかの付加的なゲノム異常が発症に関与している可能性が考えられる.次世代シーケンサーを用いた網羅的ゲノム解析を進めることにより,additional hitの解析を進めている.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Blood Cancer Journal
巻: Dec 12;4 ページ: e264
10.1038/bcj.2014.83.
http://www.ketsunai.com/publication/