研究実績の概要 |
Tet2gt/gtマウスに生じたリンパ腫細胞におけるadditional hitの解析
正常対照とリンパ腫細胞のゲノムを得ることができた1個体において次世代シークエンサーを用いて網羅的変異解析を行った.13個の候補遺伝子が抽出され,Sanger法によるvalidationを行った結果,Cadm2,Angel2,Skint10,Taar5,Bcl6の5遺伝子の変異を特定した.腫瘍のゲノムのみ得る事が出来た別の4個体を用いて,上記5遺伝子の変異を確認したが,recurrent mutationは認められなかった.また,ヒトではTET2と共存して見られる変異として,骨髄系腫瘍ではFlt3,Npm1, T細胞性リンパ腫ではDnmt3a,Rhoa,IDH2の変異が知られている.これらの遺伝子変異が存在するかどうか,前述の5個体においてそれぞれの遺伝子についてdeep sequencingを行った.結果,上述の遺伝子変異は認められなかった.以上から,Tet2gt/gtマウスに生じたT細胞性リンパ腫は既に知られている特定の遺伝子変異の関与の可能性は低く,腫瘍発症までの中央値が67週齢と長期間を要したことから,複数の遺伝子変異が蓄積することにより発症している可能性が高いものと推測した.
以上の研究成果をふまえて,“造血器腫瘍におけるTET2のゲートキーパーとしての役割”という総説を臨床血液に発表した.
|