生体が放射線で被ばくした場合、その線量に応じて造血系細胞そして腸管系(特に小腸)に重篤な障害をきたし最悪死に至るが、その根本的な治療法は確立されていない。近年、間葉系幹細胞(MSC)は、再生医療の細胞ソースとして様々な疾患応用に向けて研究が進められ、放射線障害モデルにおいても治療効果が報告されている。本研究では、MSCの分泌因子の一つBDNFが放射線を照射したラット小腸上皮細胞(IEC-6)の細胞死を抑制することを明らかにした。また、BDNFをノックダウンしたMSCにおいては、その治療効果が減弱することから、MSCの放射線防護効果の一つにBDNFが重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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