研究実績の概要 |
非炎症性腸疾患におけるCD14-CD11clow細胞の細分化:ヒト大腸正常部の腸管粘膜固有層を採取し、FACSにてLineage marker(CD3,CD19,CD20,CD56)陰性HLA-DR陽性CD14陰性CD11c陰性の細胞サブセットはCD141によってCD141high細胞とCD141low細胞に2分されることが分かった。さらにこれらの細胞をsortingしMay-Giemsa染色をしたところ円形でN/C比がリンパ球に比し小さい細胞であった。また、sortingした細胞のcDNAライブラリを作成した。 各サブセットのサイトカインおよびTLRの発現解析:各サブセットのcDNAをPCRによりサイトカイン及びTLRの発現を解析した。CD141high細胞はIL6, IL12p40,IFNγの発現が比較的高く、CD141low細胞はIL6,IL12p40,IFNγ,IL23,TGFβのいずれのサイトカインの発現も低値であった。TLRの発現解析に関してはTLR3,TLR4,TLR5,TLR7,TLR9に関して解析した。CD141high細胞はTLR4の発現が高くCD141low細胞はTLR9の発現が高かった。次にTLR ligandに対するサイトカイン産生を解析するためsortingした細胞にTLR ligandを投与し、ELISAによってサイトカイン産生を解析した。樹状細胞と考えられるLin-HLADR+CD11c+のサブセットをコントロールとして解析したが、CD141high細胞, CD141low細胞のいずれの細胞もサイトカインの産生は微小であった。健常人での正常部位の大腸粘膜固有層におけるCD141high細胞,CD141low細胞の解析ではCD141high細胞は炎症形成に関わっていることが示唆される。今後は炎症状態でのこれらサブセットの機能の解析を炎症性腸疾患患者の検体を用いて行っていく予定である。
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