研究実績の概要 |
【正常腸管におけるCD141high細胞とCD141low細胞の機能解析】 臨床検体10症例よりCD141high細胞とCD141low細胞を抽出しマイクロアレイ解析を行った。今までに報告されたマイクロアレイデータと比較してCD141high細胞およびCD141low細胞のデータを検討したところ、これらの細胞集団は骨髄由来細胞とは異なる可能性が示唆される結果であった。さらに表面マーカーの解析により、CD141high細胞はCD34陽性CD31陽性CD45陰性であり血管内皮細胞と考えられた。一方、CD141low細胞はCD45陽性の骨髄由来細胞と大部分のCD45陰性の非骨髄由来細胞の2集団で構成されていた。また、TLRリガンド刺激下におけるサイトカイン産生をELISAで評価したところ、微量ではあるもののCD141high細胞はLPS, POlyI;C刺激によりIL6の産生を認めたが、CD11c陽性細胞、CD14陽性細胞に比し非常に低値であった。血管内皮細胞がIL6を産生することは広く知られており、表面マーカーによる解析結果であるCD141high細胞が血管内皮細胞であることを支持する結果であった。一方でCD141low細胞ではIL6とTNFαの産生を認めた。 【炎症状態におけるCD141high細胞とCD141low細胞の機能解析】 炎症性腸疾患の手術症例を用いた炎症状態におけるCD141high細胞とCD141low細胞の機能解析では炎症状態ではCD141high細胞はIL6、IL12のmRNAの上昇、CD141low細胞はIFNγのmRNAの上昇を認めた。
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