冷痛覚過敏はオキサリプラチン等の抗がん薬を使用する患者において高頻度で発現するが、未だ有効な治療手段は確立されていない。我々は33℃以上の温度刺激により活性化するTRPV3チャネルの機能獲得型変異を有するラットにおいて侵害的な冷刺激に対する痛覚行動が亢進していることを見出した。TRPV3は一次感覚神経において、主に痛みを伝達する神経細胞に発現していることが明らかとなった。また、TRPV3チャネルは冷感受性に重要なTRPA1チャネルとの相互作用を介して冷痛覚に関与する可能性が示唆された。TRPV3の機能解析は冷痛覚の分子メカニズムの理解及び新規治療標的の同定に繋がることが期待される。
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