これまでに低酸素誘導因子HIF-1の核移行についてはあまり知られていなかったが、近年、ヒストン脱アセチル化酵素-7(HDAC7)がHIF-1αの核移行に重要な役割を果たしていることが報告された。我々は、上皮性卵巣癌の中でもHIF-1が高発現している明細胞腺癌に着目し、HDAC7の発現動態とHDAC阻害剤を用いた新しい治療の可能性について検討した。 その結果、HDAC7は明細胞腺癌で高発現しており、HDAC強陽性例では予後不良な傾向を認めた。また、HDAC阻害剤VorinostatはHIF-1, VEGFの発現を抑制し、HDAC阻害剤は新たな明細胞腺癌の治療薬として可能性が期待された。
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