本研究ではバルプロ酸(VPA)が、緑内障でみられる網膜神経節細胞死を抑制する可能性について検討を行った。神経細胞死を引き起こす高濃度のグルタミン酸をマウス眼球に投与して、網膜神経節細胞死を誘導したところ、VPAを投与したマウスでは網膜における神経細胞死が抑制されることが明らかとなった。また、神経保護作用をもつDock3の発現を調べたが、VPAによる発現誘導は確認されなかった。一方、Dock8による視神経炎症への影響について検討したところ、Dock8欠損マウスでは病態が著しく軽減することを見出しており、今後はDock分子を活用した炎症制御による新たな治療法開発に期待がもたれる。
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