本研究では癌の骨転移環境下での骨細胞の挙動に着目した。特に、骨細胞と癌細胞との間のネットワークについて解析をすすめた。骨細胞が産生する因子の中で特に骨代謝に関与するFGF23に着目した。癌が転移した周囲の骨細胞でのFGF23の発現は認められなかった。一方、骨に転移した乳癌細胞はFGF23を過剰に産生することがわかった。以上より、骨細胞と癌細胞にはネットワークがあり、FGF23が関与していることがわかった。癌細胞が骨に転移することでFGF23を発現し、骨に指向性をもつようになるのかの詳細な検討は今後の課題と思われる。
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