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2014 年度 実施状況報告書

ESETとG9aによるrunx2を介した骨芽細胞分化制御

研究課題

研究課題/領域番号 26861562
研究機関鶴見大学

研究代表者

出野 尚  鶴見大学, 歯学部, 実習指導教員 (40435699)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード骨芽細胞分化 / エピジェネティクス / 転写活性化
研究実績の概要

これまでに我々は骨格系組織の分化に伴いH3K9ヒストンメチル化酵素の発現が協調的に変化する事を見出した。またそのうちのG9aとESETをノックダウンまたはノックアウトした骨芽細胞では分化ならびに増殖に影響が出るとの予備的結果を得ている。そこで本研究では、G9aとESETによる骨芽細胞分化制御の仕組みの一端を明らかにすることを目指している。すでにこれまでの報告で、G9aとESETはそれぞれ、骨芽細胞特異的転写因子Runx2と結合することが示唆されている。
そこでまず、Runx2の転写活性化能に及ぼすG9aとESETの効果をしらべるために、Runx2 promoter-LucやOsteocalcin promoter-Lucを用いたレポーターアッセイを293細胞、10T1/2細胞にて行なった。Runx2はそれぞれのプロモーターに対して活性化することが知られる。そのRunx2の転写活性化能は、G9aまたはESETのco-transfectionによって増強された。さらに、ウエスタンブロットにて外来性Runx2のタンパク量をしらべたところ、G9aのco-transfectionによって増強された。その一方で、G9aとESETを同時にco-transfectionしても相乗効果はみとめられなかった。また、siRNAを用いてG9aをノックダウンしたうえで、同様のレポーターアッセイを行なったが、siRNAのtransfectionによりコントロール(Firefly-Luc)の発現レベルも低下したため、正確な解析結果が得られていない。そこで現在、レポーターへ影響の少ないtransfection条件の検討を進めると共に、flox/floxマウスを用いたノックアウト細胞の作出準備を進めている。
さらに転写活性化に及ぼす影響が内在性のRunx2に対しても起こるかどうか調べるために、骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1細胞にてG9aまたはESETの過剰発現をおこない、内在性のRunx2およびRunx2ターゲット分子の遺伝子レベル、タンパク質レベルへの影響を詳細にしらべている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究を進める上で、骨芽細胞特異的転写因子Runx2と結合することが示唆されていたG9aとESETが、Runx2の機能に与える効果を明らかにすることは重要であった。現在までに、外来性プラスミドのtransfectionによるレポーターアッセイにおいて、Runx2の転写活性化能をG9aとESETがそれぞれに増強する事が認められた。さらに、G9aのco-transfectionによって外来性Runx2のタンパク量が増強した事から、G9aがRunx2のタンパク質安定化を通じて転写活性化の増強を担っている新しい可能性も示唆された。

今後の研究の推進方策

G9aとESETによるRunx2の転写活性化能の増強が、Runx2との協調的な効果によるものと考え、さらに詳細な解析を進める。G9aまたはESETの過剰発現と機能欠損を同じ細胞系で観察するためにG9a flox/floxマウスおよびESET flox/floxより頭蓋冠由来骨芽細胞を作出する。G9aとESETはどちらもヘテロマウスではwild typeマウスと表現型に違いが認められないとの所属研究室の予備的結果から、flox/+ではなくflox/floxマウスを用いる必要がある。過剰発現にはレトロウイルス、機能欠損には現有のCre発現アデノウイルスを用いる。これら過剰発現または機能欠損細胞にて、内在性のRunx2およびOsteocalcin等、Runx2ターゲット遺伝子のmRNAレベル、タンパク質レベルの変動をしらべる。さらに、それら遺伝子のプロモーター領域におけるH3K9メチル化レベルの変動をクロマチン免疫沈降を用いてしらべる。また、G9aとRunx2、ESETとRunx2が複合体を作るとの報告があるため、転写活性化にかかわる各々の結合部位を明らかにするために、部分欠損コンストラクト構築を進める。

次年度使用額が生じた理由

siRNAを用いた実験より得られた結果を詳細に解析したところ、更なる条件検討の必要性が出てきたため、当該年度後半に予定していた研究成果の学会発表を一つ見送ったため。

次年度使用額の使用計画

ex vivoでの実験を行なうためのマウス作出に必要な動物や、部分欠損プラスミド構築に必要な酵素等、高額な分子生物学実験試薬の購入に使用する計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] ヒストンメチル化酵素G9aによる間葉系細胞の増殖と分化の調節2014

    • 著者名/発表者名
      出野 尚、島田明美、上運天太一、和田悟史、小松浩一郎、立花 誠、荒木良子、中村芳樹、安倍真澄、中島和久、二藤 彰
    • 学会等名
      第56回歯科基礎医学会学術大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場・福岡県・福岡市
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27
  • [学会発表] The functions of histone methyltransferase G9a during growth and differentiation of mesenchymal cells2014

    • 著者名/発表者名
      出野 尚、島田明美、上運天太一、和田悟史、小松浩一郎、荒木良子、中村芳樹、安倍真澄、中島和久、二藤 彰
    • 学会等名
      第32回日本骨代謝学会学術集会
    • 発表場所
      大阪国際会議場・大阪府・大阪市
    • 年月日
      2014-07-24 – 2014-07-26

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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