咀嚼嚥下障害を持つ患者に対し,食形態の改良や誤嚥を防止する目的で姿勢調整が行われてきた.しかし,この姿勢調整は,誤嚥を予防することを目的に行われており,これらの姿勢をとらせた際の咀嚼の行いやすさについては考慮されていない.本研究では,頭頸部の姿勢変化や体幹の傾斜角度により,咀嚼運動様相がどのように変化するかを明らかにすることを目的にした.若年健常者を対象に,咀嚼運動時において,リクライニング位,頭頸部屈曲などの姿勢をとらせたところ,ガム咀嚼時には側方の運動量が減少した.姿勢調整などのために頸部を屈曲させる際には,咀嚼運動に変調をきたす可能性について考慮する必要があることが示唆された.
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