本研究は、骨誘導能を持つフルバスタチンの局所応用により歯槽突起頬側への骨形成を人為的に行い、矯正歯科治療における頬側歯根露出などの偶発症の予防の可能性について検討した。本研究では、MC3T3-E1を用いた細胞培養実験と上顎側方拡大実験動物モデルを用いた実験を行った。その結果、フルバスタチンは50nM-100nMで骨芽細胞の石灰化誘導を行うことが証明された。また、動物実験では、この至適濃度を用いた局所応用により上顎歯列側方拡大後の頬側における有意な石灰化を認めた。従って、矯正歯科治療におけるフルバスタチンの局所応用は、頬側歯槽骨の吸収により歯根が露出するなどの偶発症を予防する可能性が示唆された。
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