本研究は、成人人工内耳装用者の持つ健康上のニーズを明らかにすることにより、人工内耳装用後の状態に円滑に適応できるためのサポートシステムの構築に向けた示唆を得ることを目的としている。中途失聴により人工内耳を成人期に装用した者が記した市販の書籍や、SNS等で公開された手記等を情報源とし、質的帰納的手法を用いて、成人人工内耳装用者が人工内耳装用後に得た「聞こえ」にまつわる体験を整理した。その結果、【聴力回復の可能性を推し量り期待に揺れ動く】【予想とは違う音の聞こえに戸惑う】【周囲の状況にコミュニケーションが左右される】【失聴前に描いていた人生の歩みを諦める】等のカテゴリーを得た。
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