• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

Paused iPSCを用いたiPS細胞誘導機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 26870074
研究機関筑波大学

研究代表者

西村 健  筑波大学, 医学医療系, 助教 (80500610)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードiPS細胞 / Klf4
研究実績の概要

初期化因子のうちKlf4の発現量を調節できるベクター(SeVdp(fKOSM))を用いて、iPS細胞誘導が途中で停止した細胞(paused iPSC)を誘導した。Klf4の発現量を変えることによって、異なる段階で停止したpaused iPSCを用意し、それらについて、DNAマイクロアレイを用いて、全ゲノムの遺伝子発現データを取得した。次に、得られたデータについて、解析ソフトGeneSpringGX10を用いてクラスタリング解析を行い、Klf4発現量依存的に、paused iPSCにおける発現量が異なる遺伝子群を同定した。Klf4依存的に発現量が増加する遺伝子の中には、多能性維持に関わる遺伝子が多く存在したことから、paused iPSCでは、Klf4発現量依存的に多能性が異なることが、全ゲノムの遺伝子発現解析からも証明された。
以上のデータを論文にまとめ、Stem Cell Reports誌に投稿し、掲載された(Nishimura K et al. 2014)。また、論文の内容について大学のHPでプレスリリースを行い、それに関する記事が、2014年10月3日付けの日本経済新聞に掲載された。
また、paused iPSCにおいて、Klf4に対するChIP-seq解析を行うために、Flag-tag付きKlf4を発現するpaused iPS細胞誘導用ベクター(SeVdp(fKgOSM))を作製した。このベクターを用いて、Klf4発現量を調節しながらiPS細胞を誘導したところ、SeVdp(fKOSM)を用いた時と同様に、Klf4発現量依存的に多能性が異なるpaused iPSCが得られたことから、Flag-tagはpaused iPSC誘導には影響しないことを明らかにした。そして、paused iPSCからクロマチンを調整し、抗Flag抗体を用いてクロマチン免疫沈降を行う方法を確立した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究成果を論文発表することができ、新聞に記事が掲載されたので、その点では進展したと言える。また、ChIP-seq解析のための準備として、新たなベクターも作製し終えた。
しかし、予算が足りないためにChIP-seqの解析委託をすることが出来なかったため、やや遅れているとした。

今後の研究の推進方策

今年度はまず、昨年度用意したベクターを用いてChIP-seq解析を行い、その結果を元に、Klf4発現量依存的な多能性獲得機構を明らかにすることを試みる。また、その知見を活かして、高い多能性を獲得したiPS細胞をより効率良く誘導する方法の確立する。
さらに、同様の方法でヒトpaused iPSCの誘導も試みて、ヒトiPS細胞誘導におけるKlf4発現量依存的な多能性獲得機構についても解析を試みる。

備考

Stem Cell Reports誌に掲載された論文の内容について、大学のホームページにプレスリリースしたもの。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Manipulation of KLF4 expression generates iPSCs paused at successive stages of reprogramming2014

    • 著者名/発表者名
      K. Nishimura, T. Kato, C. Chen, L. Oinam, E. Shiomitsu, D. Ayakawa, M. Ohtaka, A. Fukuda, M. Nakanishi, K. Hisatake
    • 雑誌名

      Stem Cell Reports

      巻: 3 ページ: 915-929

    • DOI

      10.1016/j.stemcr.2014.08.014

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Prediction of inter-individual differences in hepatic functions and drug sensitivity by using human iPS-derived hepatocytes.2014

    • 著者名/発表者名
      K. Takayama, Y. Morisaki, S. Kuno, Y. Nagamoto, K. Harada, N. Furukawa, M. Ohtaka, K. Nishimura, K. Imagawa, F. Sakurai, M. Tachibana, R. Sumazaki, E. Noguchi, M. Nakanishi, K. Hirata, K. Kawabata, H. Mizuguchi
    • 雑誌名

      Proc. Natl. Acad. Sci. USA

      巻: 111 ページ: 16772-16777

    • DOI

      10.1073/pnas.1413481111

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Advanced Feeder-Free Generation of iPSC Directly From Blood Cells2014

    • 著者名/発表者名
      R. Trokovic, J. Weltner, K. Nishimura, M. Ohtaka, M. Nakanishi, V. Salomaa, A. Jalanko, T. Otonkoski, A. Kyttälä
    • 雑誌名

      Stem Cells Trans. Med.

      巻: 3 ページ: 1402-1409

    • DOI

      10.5966/sctm.2014-0113

    • 査読あり
  • [学会発表] Paused iPSCを用いたiPS細胞誘導過程の解析2015

    • 著者名/発表者名
      西村 健
    • 学会等名
      第14回日本再生医療学会総会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2015-03-21
  • [学会発表] iPS細胞誘導初期に関与する転写因子の同定とその機能解析2015

    • 著者名/発表者名
      加藤 哲男
    • 学会等名
      第14回日本再生医療学会総会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2015-03-19
  • [学会発表] 細胞の初期化におけるリプログラム因子の機能解析2015

    • 著者名/発表者名
      塩満 鋭美
    • 学会等名
      第14回日本再生医療学会総会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2015-03-19
  • [学会発表] Klf4遺伝子発現量調節による多能性が異なるiPS細胞の誘導2014

    • 著者名/発表者名
      西村 健
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2014-11-25
  • [学会発表] Manipulation of Klf4 expression produces paused iPSC stalling at distinct intermediate stages of reprogramming2014

    • 著者名/発表者名
      西村 健
    • 学会等名
      Keystone Symposia “Stem Cells and Reprogramming”
    • 発表場所
      Olympic Valley, USA
    • 年月日
      2014-04-08
  • [備考] iPS細胞誘導の中間体の作製に成功 ~Klf4遺伝子の発現量によるiPS細胞誘導の調節~

    • URL

      https://www.tsukuba.ac.jp/attention-research/p20141003010.html

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi