日本の憲法秩序において,国際規範はどのような法的効力を持つか。この問題に取り組むため,本研究はアメリカ合州国・イギリス・フランス・ドイツ・中国・日本を素材とし,各国憲法秩序における国際規範につき,その実施権限の配分原理を比較法的に探究することを試みた。これにより,憲法秩序における国際規範の法的効力は,従来の「直接適用」・「間接適用」の二分論ではなく,(1)狭義の直接適用の根拠としての効力,(2)司法審査の根拠たる裁判規範としての効力,(3)説得的根拠(persuasive authority)としての効力,という3種類に整理すべきことを導き,具体的な検討を行った。
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