本研究は,加齢に伴う変化を補うために行われる高齢ドライバーの走行中の速度調節及び運転中止の意思決定に焦点を当て,実験及び調査を実施した. 研究Ⅰでは,高齢ドライバーと非高齢ドライバーを対象に実車走行実験を行い,一時停止交差点の走行を求めた.非高齢ドライバーは状況に応じて行動を変化させる一方,高齢ドライバーは変化が小さい傾向が示された.研究Ⅱでは,成人1248名を対象にインターネット調査を行った.場面想定法を用いて,運転継続もしくは中止の判断を求めた.疾病による運転の支障があるにもかかわらず,ベネフィットや情動といった心理社会的要因によって意思決定及びリスク認知が影響を受けることが確認された.
|