最近の研究で、がん遺伝子の活性化により誘導される細胞老化は、細胞内エネルギー代謝にも大きな変化をおこしていることが分かってきた。我々は、培養細胞をモデルとして用い、網膜芽細胞腫の原因遺伝子として知られるRbが細胞老化にともなうエネルギー代謝変化を調節していることを明らかにした。具体的には、老化細胞におけるミトコンドリア呼吸の活性化がRb依存的におこっていることを見出した。さらに、網羅的な遺伝子発現および代謝産物解析により、Rbタンパク質が解糖系を中心とする複数の代謝関連遺伝子の発現レベルを上昇させることでエネルギー源供給を亢進させ、下流のミトコンドリア呼吸を活性化していることを明らかにした。
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